訪日外客、2020年までに2千万人、中韓台で6割を 国交省WGが目安示す


有識者らで構成する観光実務に関するWG(8日の会合)

有識者らで構成する観光実務に関するWG(8日の会合)

 国土交通省は8日、「観光実務に関するワーキンググループ(WG)」(座長=須田寛・JR東海相談役)の中で、中長期目標である「2020年までに訪日外国人旅行者を2千万人に拡大」が実現した場合の国別の誘致目安人数や経済効果などを明らかにした。特に2千万人実現のためには中国、韓国、台湾の3大市場からの外客誘致に力を入れ、2千万人中6割にあたる1200万人を3大市場から誘致する必要があるとの見解を示した。

 同WGは、政府の観光立国推進戦略会議(座長=牛尾治朗・ウシオ電機会長)の下に設置された有識者による実務レベルの検討機関で、今年6月の戦略会議で取りまとめた中長期的目標である訪日外国人2千万人達成に向け、課題と具体的施策の検討を行うもの。8日に開いた第1回会合の中で、国土交通省は国別目標人数や訪日客2千万人による経済効果の試算などを示した。

 目標とする訪日客2千万人のうち、中国、韓国、台湾で6割の1200万人、具体的には韓国400万人、台湾200万人、中国600万人の獲得を目指す。このほかアメリカからは130万人(07年実績82万人)、ロシア20万人(同6万人)など。国別人数については今後精査や見直しが必要としたものの、21の国や地域ごとに想定数値を明示した。また外国人の延べ宿泊者数は、07年の2265万人から、2.4倍の5425万人となり、宿泊者のおよそ6人に1人は外国人になると試算している。

 ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が始まった03年から07年までの期間、観光客数は314万人増加した。目的別の内訳では9割が観光目的で来日しており、訪日外客全体の構成比でも、観光客の割合が全体の6割から7割へと拡大。増加した314万人の国別内訳では、韓国からの訪問客が36%の114万人でトップ。以下台湾60万人(19%)、中国49万人(16%)と続き、上位3カ国で増加分の7割を占める。

 本保芳明・国交省総合観光政策審議官は「現在の主要市場のうち、韓国、台湾は飽和状態に近づくと予想される。(2市場に)期待しつつも、中国とその他アジアを中心に訪日客を増やす必要がある」と述べたうえで、「日本の場合、アジアが主要市場。多様な文化、言語の人々を迎えるためには欧米の観光大国とは違った対応策が必要となり難しさもある」とし、観光ビザ制度の緩和などについては、外務省など関係官庁を巻き込んだ具体的な方策の検討の必要性を指摘した。

 このほか国交省が示した試算では、外客2千万人が実現した場合の旅行消費額は、06年実績の1.4兆円の約3倍である4.3兆円に達すると算出。経済波及効果は現在の3.3兆円から10.4兆円にまで拡大するとの見方を示した。

 また試算では交流人口拡大が及ぼす経済効果にも言及。日本国内の人口減少に伴う定住人口1人あたりの年間消費額減少分が、外国人旅行者7人分の消費額で補えるとした。このほか外国人旅行者の誘客については、在留外国人の活用を示唆。2020年までに留学生を30万人まで増加させる政府計画を示し、そのボリュームを活用した情報発信の可能性を指摘した。

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